理事長挨拶

就任挨拶

この度、2020年(令和2年)9月10日付けで、一般社団法人日本小児心身医学会の第7代理事長に就任しました永光信一郎です。理事長という大役を任され、はなはだ微力ではありますが、会員の皆様のご支援をいただきながら、小児心身医学の発展に誠心誠意努力する所存です。

わが国の小児医療提供体制は大きな変革期を迎えています。小児救急医療体制が確立し、予防接種が普及したことにより、急性期疾患が減少しているなか、今後は慢性疾患へのケアが取り組みの中心となりつつあります。なかでも、子どものメンタルヘルスの問題については、医療従事者のみならず、国民からも大きな関心が寄せられています。また、成人期の様々な疾病を予防するためにも、小児期から子ども自身が、メンタルヘルスも含めた自分の健康に関心をもつことが大切です。心身医学は心と体のつながりを明らかにする学問であり、私たちが行っている診療や研究活動は、子どものメンタルヘルス向上に貢献していくと信じております。

理事長任期の2年間に実現させたいことの一つに、「プライマリケア医/学校医と子どもの心の診療医との連携システムの構築」があります。心に悩みを抱える子どもやその家族が、安心して医療にアクセスできるシステムをわが国で構築したいと考えています。ひとりの診療医・心理職の努力に委ねるのではなく、システムとして子どもたちを守り育んでいく社会が必要です。プライマリケア医/学校医と当学会員とが連携するための課題や障壁を特定し、課題を克服するためには何をどのように整備すべきかを調査して、システム構築に取り組んでいきたいと考えています。また、子どもの心の問題はすべてのライフステージで認められ、乳幼児期の課題が解決されなければ、さらに問題が複雑化して学童思春期へと引き継がれます。私たち会員は子どもの心の診療のプロフェッショナルとして、すべてのライフステージの子どもの心の問題の解決と、その保護者の支援に取り組んでいけるように自己研鑽していかなければなりません。私たち会員ひとりひとりが、子どもたちの明るい未来のために、どのような貢献ができるのかを改めて学会内で問うていきたいと考えています。

私たちは子どもたちをBiopsychosocial(生物・心理・社会的)な存在と捉え、生物学的な事象には心理社会的な要素も影響することを胸に刻み、診療を続けています。これは決して心身症の子どものみにあてはまることではなく、健康な子どもにもこの視点を取り入れ、健康を増進させていく必要があります。現在、当学会の会員数は、医師を中心に心理職等を含め1,600名を超えています。子どもの心の健康増進に向けて、会員ひとりひとりの意見を大切にして、開かれた学会運営をめざしたいと考えています。何卒ご支援とご指導をお願い申し上げます。

令和2年9月10日
一般社団法人 日本小児心身医学会
理事長 永光信一郎

歴代の理事長

任期 氏名 所属(就任時)
昭和58(1983)年〜平成8(1996)年 高木 俊一郎 上越教育大学
平成8(1996)年〜平成11(1999)年 長畑 正道 文教大学養育学部
平成11(1999)年〜平成14(2002)年 星加 明德 東京医科大学小児科学教室
平成14(2002)年〜平成20(2008)年 冨田 和巳 こども心身医療研究所
平成20(2008)年〜平成26(2014)年 田中 英高 大阪医科大学小児科学教室
平成26(2014)年〜令和2(2020)年 村上 佳津美 近畿大学医学部堺病院
令和2(2020)年〜 永光 信一郎 福岡大学小児科
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