第6回日本小児心身医学会北海道地方会 一般演題2
中学から不登校・起立性調節障害にて外来治療中に
高校にて大量服薬を機に統合失調症発症を確認した一女子例
札幌医科大学小児科 國重 美紀、前垣 よし乃、館農 勝
小樽協会病院小児科 五十嵐 敬太、飯田 一樹
症例は中学入学時に、学校にうまくなじめず、2年生より徐々に不登校となった女児である。幼少時から人見知りが強く、緊張しやすい性格、父は感情的になりやすく、職が安定しない、母は本児に寄り添う面もあるが、本児を否定するような言動もみられるという家庭環境である。
中学2年生の秋、他院で起立性調節性障害の診断を受けていたが、内服治療で中学3年生の秋頃に軽快した。登校前、登校中の吐き気、断続的な抑うつ症状に対して、鎮吐剤、抗うつ剤の処方を続けていた。
全日制高校に入学したが、5月の連休以降不登校となり、2学期より通信制にコース変更した。2年生の秋、ネット上・学校内外での人間関係のすれ違いが重なり情緒不安定となったため、抗うつ剤に向精神病薬の併用を開始した。
高校3年生になり、生理周期に一致して情緒不安定になるが、それ以外では落ち着いており、向精神病薬を中止した。5月、登校日の前日に左前腕部を自傷し、救急外来で縫合処置をうけた。7月、眠れず、2か月分の抗うつ剤を自殺目的で大量服薬し、救急搬送となった。意識回復後の面談では、漠とした不安感(母が溶けてしまうのではないか…)、幻聴・被注察感(1人で自宅にいるのに、足音が聞こえる、すぐ後ろに人が立って見られている気がする)について初めて語られた。 これらの症状は、抗不安薬では改善せず、向精神病薬の投与で速やかに軽快した。 その後、幻視(手や足が見える)、誰もいないのに人の気配を感じるということはあるが、不安感はなく過ごせている。
統合失調症の前駆期症状と言われている諸症状は、不登校・起立性調節障害・抑うつから見られる症状に重なる部分が多い。また、不登校の長期予後では、約1割が精神疾患を発症すると言われている。長期フォローにおいて、統合失調症発症のリスクを常に考えておく必要がある。

