日本小児心身医学会認定医制度について

日本小児心身医学会理事長 田中英高
認定医制度委員会委員長 岡田あゆみ

はじめに

子どもの心の問題の増加と共に,その診療に携わる医師養成が急務となり,国は「子どもの心の診療医養成」事業を展開しています。今後,小児科診療のなかで心身症を始めとする心身両面の問題に対応できる医師の必要性はさらに増すと思われますが,専門医の不足や専門性を明らかにする制度がないことから,患者さんやそのご家族の要請に十分対応できていない現状があります。
日本小児科学会では,小児医療全般にすぐれた医師を育成することを目的に「小児科専門医」制度を制定し,さらに小児科医のサブスペシャリティー確立のために各分野での専門医制度の制定を推進しています。本学会では,昭和57年の設立当初(昭和57)から「すべての小児科医が心身医学を修め実践するべき」として活動してまいりました。しかし,昨今の専門医要請の希求に対して,標準的な心身医療を実践できる経験豊かな臨床医を養成することも,果たすべき役割の一つと考えます。
このような流れの中で,日本小児心身医学会においても「認定医」制度発足について理事会で検討を重ね,平成21年5月総会で承認されました。その後,準備委員会設立,12月規約等の骨子を作成,平成22年1月から認定医制度委員会(学会理事が担当)に移行,5月に制度施行開始,9月に第1回認定医試験を施行いたしました。

本制度の意義と特徴について

現在子どもの心の診療に関する領域では,日本小児神経学会(専門医),日本児童青年精神医学会(認定医),日本小児精神神経学会(認定医),日本小児科医会(子どもの心相談医)などの資格を設けています。その中で本学会の認定医制度は,子どもの心とからだの双方の発達を熟知したうえで,心身相関から生ずる子どもの様々な疾病や病態に対して,専門的に診療できる臨床医を育成することにより,より高度で質の高い医療を提供することを目的としています。また,認定の必要要件を提示して自己研鑽の目安としていただき,これから小児の心身医学を学ぶ方にとって研修のよき指針となることを目標にしています。

本学会は,認定医として,小児心身症に対する一定以上の診療能力を期待していることから,症例要約の提出,筆記試験,口頭試問など複数の試験を行って多面的に厳密な認定を行うことにしました。本学会会員の中には,すでに他の関連学会や関連団体が承認した専門的な資格を有している経験豊富な会員がおられます。しかし,認定医制度として一律に試験制度を採用した背景には,1)「小児心身医学」を共に学ぶ学会として「心身症」の診療能力は必須の条件と考えたこと,2)診療報酬の改定などで専門性の真価が問われる場合に備えて,資格認定は公正・厳格に行う必要があること,3)1)2)により価値のある資格と認知されることで,会員の自信,日常診療への研鑽と励み,生涯学習につながるような制度にしたいこと,などがあります。

認定医申請資格について

  • 1)小児心身医学の臨床に従事していること。
  • 2)日本小児科学会の会員であるか,または各基本領域学会の専門医の資格を有すること。
  • 3)継続して5年以上,日本小児心身医学会の正会員であり,会費を納入していること。
  • 4)日本小児心身医学会学術集会への参加など,所定の研修を修了していること。
  • 5)症例要約5例の提出。
  • 注:
  • 2)については,将来の専門医制度移行時には,小児科専門医(または基本学会の専門医)資格を有しないと認定されない場合がありますが,現在検討中です。
  • 4)学術集会とイブニングセミナーへの参加,学会発表または心身医学に関する論文発表が要件となります。詳細は細則等で確認ください。平成25年度までは参加証のコピー添付を免除するなどの移行措置があります。
  • 5)日本小児科学会専門医制度に準じた要件となっています。継続中・終了いずれの症例でも構いません。

第1回認定医試験について

第1回認定医試験は,平成22年9月12日日曜日に石川県文教会館で行われました。事前に提出された症例要約5例の評価と,筆記試験(20問,30分),口頭試問(10分)により審査を行いました。今年度は移行措置のため,申請者は評議員のみに制限いたしました。22名の受験があり,全員が認定医と認定されました。

アンケート調査・イブニングセミナーの結果から

第28回学術総会(金沢)において,会員の方にアンケート調査を行いまいた。結果(資料1(PDF)参照(会員専用))をご参照ください。アンケートには89人の方から回答をいただきました。認定医制度の施行については70%の会員が知っていたが,ホームページを見たことがない,詳細が分からない,メリットがないなどの意見もありました。また,筆記試験対策として,新たなガイドラインの追加,各種の講習会の開催などの希望も見られました。その一方で,認定医制度の必要性について充分に理解が得られていないという意見もあり,会員への周知と理解促進を図りたいと考えます。
イブニングセミナーでは「小児心身医学領域におけるあるべき症例要約の姿」に関して活発な討論をいただきました。(詳細は,子どもの心とからだ第13巻1号をご参照ください)この提案を参考に,認定医制度試験における症例要約・口頭試問でどのような点を重視するのか,来春までに検討して発表する予定です。
今後の本制度の普及と改善のために,皆さまからのご意見が大変参考となりました。ご協力ありがとうございました。

今後の予定と課題

  • 認定医試験の改善
    第1回認定医試験施行後,試験官,受験者からの要望・アンケート調査を行いました。この結果,複数の問題点が上がりました。頻度の多かった質問については,Q&Aを作成しています。(資料2(PDF)参照(会員専用))今後,症例要約書式の変更など,来年度の試験に向けて改善を図る予定です。
  • 研修体制の充実
    本制度の目的は,将来の専門医制度移行も視野に,研修体制の充実を図ることです。その一環として,ガイドライン講習会の開催などが今後の課題となります。この点については,研修委員会(汐田まどか委員長)で,来年度以降活動が予定されています。

第2回認定医試験について

第2回日本小児心身医学会認定医試験は,第29回学術総会の最終日,平成23年9月18日(日)に大阪で開催の予定です。

さいごに

認定医制度準備委員会では,赤坂徹,小林繁一,小柳憲司,汐田まどか,洲浜裕典,冨田和巳,芳賀彰子,福地成,細木瑞穂,宮本信也,宗盛絵里子,村上佳津美,渡部泰弘(あいうえお順)にお世話になりました。ここに深謝いたします。
学会ホームページに,認定医制度に関するお知らせを随時掲載しております。申請書式等は,今後適宜更新していく予定です。参照のためには会員番号とパスワードが必要です。ご不明の場合は,日本小児心身医学会事務局(〒606-8305 京都市左京区吉田河原町14 財)近畿地方発明センタービル,電話(075)771-1373, FAX(075)771-1510,E-mail:shonisinsin@chijin.co.jp)へお問い合わせください。

*認定医制度に関してのご意見,ご要望,ご質問は下記へお願いいたします。
認定医制度委員会事務局
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科小児医科学内(担当岡田・上谷)
〒700-8558 岡山市北区鹿田町2-5-1,電話(086)235-7251,FAX(086)221-4745,E-mail:jisin-ni@md.okayama-u.ac.jpメールアドレスが変更されました。ご注意ください。